テレワーク特化の転職サービス「FLEMEE」を通して就職した方のインタビューをしてきました。
プロフィール
あや
埼玉県出身。中学時代のいじめにより不登校を経験。フリースクールに通いながら事務系の資格をとり、専門学校を卒業後は医療事務職や一般事務職として勤務。ハラスメントやハードな労働環境によりうつ病を発症し休職した経験から障害者雇用を選び、2023年7月よりフリー株式会社にて勤務。
データ入力やデータチェックの業務を担当。
うつ病の悪化で休職。「社会に戻れないかもしれない」という不安
前職までのご経験を聞かせてください。
専門学校を卒業後、医療事務職に就きました。もともと医療分野に興味があり、学生時代に事務関連の資格もとっていました。しかし実際は看護助手や受付業務など肉体労働が多く、学校で学んできたことは活かせず。常に人員不足でハードな労働環境の中、ハラスメントもあり、結果的に心身の不調をきたして退職しました。
次も医療事務職に就きますが、次第に社内の対人関係に悩むようになり、事業拡大のタイミングが重なり、自分だけで抱えられるキャパシティを越えてしまい退職しました。
これらの経験を踏まえ、医療事務を離れて建築系の事務職に転職しましたが、ここでは自分以外に事務職の人がおらず、困ったときや辛いときに相談できる場所がないことから精神的に追い込まれていきました。
この頃に心療内科を受診し、うつ病の診断を受けています。その後しばらく服薬治療をしながら仕事をしていましたが、セクハラを受けたことが決定打となり、うつ病が悪化。3カ月の休職に至りました。
初めて長い期間仕事を休む経験をして「もう社会に戻れないんじゃないか」と不安でした。不登校だった学生時代のトラウマもよみがえって、当時に戻ってしまうような不安な気持ちが続いた時期でした。
自覚していなかった特性を知り、生きづらさへの回答を得た
お持ちの障害、ご病気について教えてください
診断名としては、うつ病と社会不安障害です。
現職へ入社後に自己理解が進んだそうですね?
はい、現職では定期的な面談があり、国家資格を持つ社員さんと仕事以外に体調の話もできるのですが、そこでの会話を通して自己理解が進みました。その結果、通院先を変更してPTSD(心的外傷後ストレス障害)の検査を受けたり、新たにASD(自閉スペクトラム症)傾向が指摘されるなど、自分の特性の解像度が上がりました。診断名だけではなく、自覚していなかった特性を知れて、漠然と感じていた生きづらさへの回答をもらえたような感覚です。
それまでは漠然とした生きづらさを感じていたのですか?
はい、学生、社会人とコミュニティが大きくなるにつれて、人付き合いへの苦手意識が大きくなっていました。漠然と、何か先天的な特性があるように感じていました。今思えばASDの特性による生きづらさなのですが、当時は自覚できていなかったです。なので、初めて「うつ病」と診断されたときは全然ピンとこなくて。うつ病の診断に対してなんとなく腑に落ちない感覚でした。
当時は「病院に行けば困っていることの原因が分かるだろう」と思っていたので、自分も適切に困りごとを伝える準備ができてなかったんです。病院もよく分からずに適当に決めていました。
適切な診断を受けるために、患者側に伝えるスキルが必要なんですね。精神的に辛い状況では特にハードルが高いようにも感じます。
そうですね。このときは、抑うつ状態や意欲の低下、希死念慮などもあって、辛いときには日常生活もままならなかったので、そういった症状を伝えて「うつ病」と診断されるのは確かに不思議ではなかったかもしれません。ましてや、それが二次的な症状で、根底にある特性が原因だなんて見当もつきませんでした。
診断を受けてから障害者手帳をとるまではどんな流れでしたか?
休職から復職のタイミングで障害者手帳をとりました。
精神科に半年通院していれば取得できる可能性があると聞いていたので、早い段階から取得は決めていました。障害者手帳があった方が体調に関して会社からの理解を得られやすいかもと考えたためです。
障害者手帳をとることに迷いは無かったですか?
障害者手帳をとることで、自分が正真正銘「障害者」になる、という心理的な葛藤はありました。
学生時代から生きづらさを感じると同時に「普通であること」に縛られてきた部分があり、障害者手帳をとることで「普通であること」を諦めた感覚でした。
大きな決断ですよね、現在のお気持ちはいかがですか?
病気や障害によって「できなくなる苦しさ」に目が向きがちですが、今までの自分に戻ろうとするよりも、新しい自分になろう!と考えてみるのはどうですか?と言ってもらえたことがありまして、その言葉が自分の中にすんなり入ってきて、今も背中を押してくれています。
このような出会いもあって、現在も完全には受け止められていないですが、前向きには捉えられるようになっていると思います。
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障害者雇用は生きていく上で必要な選択かもしれない
今回初めて障害者雇用での転職をされましたが、障害者雇用を選ばれた理由を教えてください
当時、一時的にテレワークを許可され休職から復職していましたが、いつかは出社をしなければならないと理解していたし、働き続けていくための根本的な課題は解決しないまま、どうしたらよいのか分からず悩んでいる状況でした。
就職してからずっと環境に適応しようと必死に頑張ってきて、ずっと無理をし続けて、結果うつ病になった。
このときの私は「障害者雇用を選ぶのは逃げや甘え」と捉えていたのですが、精神的に不安定で恐怖感も大きい状態でもあったので「一般雇用では無理だろうな、また同じことの繰り返しになるだろうな」と頭の中では冷静に状況を理解している自分もいました。
ひたすら悩む中で「障害者雇用を選ぶことで自分の特性を理解してもらえるなら、これまでのように自分をすり減らしながら過ごさなくてよいかもしれない」という考えも湧いてきて「障害者雇用は生きていく上で必要な選択かもしれない」と思えるようになりました。
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不安だった転職活動、二人三脚で乗り越えた担当者との出会い
初めての障害者雇用転職は、どのように進められましたか?
まず、どこに相談したらいいのか分かりませんでした。ふと「専門家ならば情報を多くもっているだろう」と思い、いくつかの障害者転職エージェントに登録しました。
でも、面談後に連絡が来なくなったり、1,2社の紹介があった後そのまま音沙汰なしになることも多く、障害者雇用も結構シビアだなと。
思っていたよりも転職活動の厳しさを感じることになったんですね。
先が見えない気持ちになりました。現状を変えたくて動き出したのに、見通しが立たないことが明確になってきて。応募できる企業がなかったり、見送りの連絡が続く中、社会に必要とされていないような気持ちになりました。
どういう軸で転職活動をしていましたか?
テレワークで働ける環境を転職の軸にしていました。
当時、不安障害が強く出ていて、電車やオフィスなど人との距離が近い環境では圧迫感や緊張感があり、特に電車は「密閉空間から逃げられない」という耐えられない程の恐怖感がありました。
これらの辛さ、困難さがテレワークなら軽減されると考えました。
また、働き続ける上での体調の浮き沈みに備えて、生活リズムを維持しやすかったり、不調時に安心できる自宅で過ごせることが、結果的に予期不安の対策になって、体調のコントロールがしやすいのではと考えました。
FLEMEEとの転職活動は、いかがでしたか。
キャリア面談が機械的ではなく親身に聞いてもらえたので、これまでの転職エージェントとは違う!と感じました。
過去のエージェント面談では「この回答でよかったのかな」「わたしの経歴だと評価されないかな」など考えて落ち込むこともありましたが、FLEMEEの担当者には包み隠さず今の状況を話せて、しっかり伝わった感覚を得られて、ほっとしました。
それまでは、転職エージェントは「条件に合う求人を紹介してくれる、仲介してくれるだけの存在」と認識していて、転職することは一種の賭けで、自分一人でする孤独な作業だと考えていました。
なので転職活動への不安はすごく大きかった。でもFLEMEEの担当者と話せて、二人三脚で進めるような気持ちになれました。
障害者雇用の転職に向けて準備したことはありますか?
自己理解、障害理解のほか、症状への対処法などを話せる準備をしました。主治医や身近な人と会話しながら言語化する作業を繰り返して、自分自身でも理解を深めていきました。
自己分析は過去を振り返るので、トラウマを掘り起こして苦しいと感じることもありましたが、誰かと会話しながら進めるのが私には合っていました。
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障害者雇用で安心して働くことで広がった、新たな価値観
現職に入社を決めた理由を教えてください
求人を紹介されたときから「自分に合っている業務だ」と思っていて、企業理念など会社の考え方にも共感点が多いように感じていました。
選考で様々な方とお会いしましたが、どの方もカルチャーを体現していて、応募時から入社まで印象が変わらなかったので安心して入社を決めました。
また、選考ではお互いが分かり合えるような会話で、対等なスタンスが伝わってきたことも自分に合っていると感じました。
現在どのような仕事をされていますか?
主に領収書のデータ入力を担当しています。定型業務とはいえルールが頻繁に変わる環境なので、それに伴って仕事の進め方などは日々アップデートする必要があります。
基本は一日8時間の勤務、体調が悪いときにはお休みしたり早退するなど無理なく働くことができています。
最近は新しい役割にも挑戦されているんですよね?
元のデータ入力業務に加えて、入力データのチェックや業務上の質問に答える役割にも挑戦しています。
一人で黙々とこなす作業では発生しないコミュニケーションや、見えていなかったメンバーの特性が見えてきて、これまでとは違う視点や感情を経験しています。例えば、自分一人の作業では感じなかった他者の仕事のスタイルや特性に対して「自分はこうならないのに、他の人はなぜそうなるんだろう?」みたいなことですね。
フラストレーションと同時に「自分と違うから理解できない」にはしたくない、自分の特性を受け入れてもらっているからこそメンバーの特性も理解したい、そんな思いでした。
そのためにどうしたらよいのか、なぜだろう?を繰り返しました。その結果、自分の視野が狭かったことに気づきました。自分が体験したことのある不調や特性を基準に考えてしまっていたんです。人それぞれ特性がどう出るかは違う、色んな可能性があることを知らなかったんです。
新しい役割を通して、そんな世界があることを知ることができました。
また、以前だったら精神的に辛くなっていたかもしれないけど、今は相談できる環境があります。違いに戸惑うことはありますが、メンバーとの交流が励みにもなって、孤独を感じることなく仕事ができています。
現職に入社して、キャリアへの考えに変化はありましたか?
入社当初から黙々とできる作業は得意分野と自負していたので、現職は自分の能力を最大限発揮できる領域だと感じています。
キャリア像の劇的な変化はないですが、最近トライしている新しい役割も含めて一つひとつできることを増やしていきたいですし、そうやって少しづつ次の段階へ進んで行くのかな、と思っています。
現在、障害者雇用での就労を検討されている方へメッセージをお願いします
もしかしたら、障害者雇用は逃げや甘えと考えて、自信を失う感覚になる方もいるかもしれません。過去の私はそうでした。
でも、今までの自分じゃなくて、これからの自分を優先して考えたときに、障害者雇用が自分を守る選択になることもあると思います。
「普通であること」や「一般雇用」に固執して、今もし苦しい思いをしているのなら、これから新しくできることに目を向けてみるのもいいかもしれません。その中に障害者雇用があるなら選択肢の一つかもしれないです。
また、もし今すごく悩んでいるなら、色んな人と対話をして壁打ちをしながら自己理解を深めたりするのもおすすめです。わたし自身、人と話すことを怖いと感じてたし、何回も人に傷つけられました。でも救ってくれるのも結局は人だと今は思えています。
※テレワークは障害の特性理由により可能。テレワークを含む各種制度については変わる可能性もございます。
(2024年8月時点)
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